千葉県作業療法士会 副会長
名前:松尾真輔
所属:千葉県立保健医療大学
理事や代議員より、お薦めの書籍について紹介させて頂く事になりました。
県士会活動において、私たちの違う一面も知って頂ければ幸いです。
私は、小さいころから地図帳や歴史に関する資料を眺めるのが好きでした。それもあり引っ越しなどで環境が変わるたびに、まずは書店へ足を運ぶことにしています。
これまで作業療法士として国内のいくつかの地域で勤めてきました。政令指定都市や地方都市、人口過疎地域… 南国や雪国(豪雪地帯)、様々な生活習慣や価値観がありました。
これまで新しい地域で新生活を始めるにあたって意識していることがあります。それはまずその土地柄に触れ、情報を得て学ぶこと。その地域の特性(人口や歴史、産業や農産物、または県民性など)を知ることで作業療法士としての幅が広がることを実感しています。また、その土地の特性を知ることにより対象者や関係業種の方とのコミュニケーションが初対面でも比較的楽だと感じます。皆さんが住んでいる様々な地域をどのように感じるかは十人十色。時には、対象者の方に地域の特性を教えてもらったり、そのことで対象者の情報を知るきっかけになったり…
皆さん、今一度、今働いている地域、住んでいるこの千葉県を再確認してみてはいかがでしょうか。これまで気付かなかった一面に触れられるかもしれません。私自身、知っているようで知らないことがたくさんあるものだなと実感します。特に人との関わりやコミュニケーションが苦手だと感じている若手の作業療法士の方には、一つのきっかけになるのではないでしょうか。
千葉に移り住み始めて早6年。思い返しながら再度この本を読み返すと、前回と違う私なりの新たな千葉県像が出来た気がします。これをきっかけに久しぶりに私もまた違う千葉県に関する書籍も読んでみたいと思います。
書籍名 | 地図で楽しむすごい千葉 紹介者 松尾 真輔 |
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著者 | 都道府県研究会 |
定価 | 1,500円+税 |
ISBN | 9784800312884 |
出版年月 | 2017.07.27 |
著者:Tokin(トキン)
1983年生まれ。イラストレーター。学生時代から心身の不調を抱え七転八倒。精神科の通院開始から10年ほどで解離性同一性障害・双極性障害と診断される。現在、イベント出展やライブペイントも開催。
監修協力&解説:岡野 憲一郎
京都大学大学院教育学研究科教授、医学博士
1982年東京大学医学部卒業
主著に『解離性障害―多重人格の理解と治療』『続・解離性障害―脳と身体からみたメカニズムと治療』、その他多数
「頭の中にいろいろな自分がいるなんて!なんて生きにくい!」この漫画を読んだ初めの感想です。『解離性障害』と聞いても、専門書からの知識や、診断を受けた当事者と関わる機会があっても、その症状や状態についてイメージできなかった私にとって、この漫画はとてもリアルで説得力がありました。例えば、トキンさんが診断を受けての1コマ「普通の人には、頭の中に『別の人』がいないのか・・・」というつぶやき・・。
作品自体は、絵もかわいいし、ストーリーがコミカルで面白い!エピソード中、かなり悲惨な内容もあるのですが、テンポよくユニークに描かれています。
トキンさんの人格は<子どもトキン><黒トキン><ヒーロートキン><監督トキン>など様々登場しますが、すべてがトキンさんです。他の解離性障害の方の場合、全く別の人だったり、動物だったり、架空の生き物だったりと、バラエティに富んだ人格が存在することが多く、その症状は個人差が大きいのですが、トキンさんの場合は、すべてがトキンさんだったことで、新しい活動や行動を起こすことができたようです。
またトキンさんは『双極性障害』も合わせて診断されているのですが、この症状についても、感情の動きと実際にあった体験を、トキンさんのセンスで上手く描いています。
漫画の途中には、『解離性障害とは?』『双極性障害って何?』『解離はいつ起こる?』『まわりの人にできること』といった内容の岡野氏によるコラムもあり、トキンさんカラーで描かれている内容を専門的に解説したり、補足の説明をしてくれています。終わりの『かいせつ◎トキンさんと解離性同一性障害』でも、発症の原因や人格、治療についての記述があり、
漫画の中で描かれているトキンさんの理解の仕方を、わかりやすく解説してくれています。
様々な各種疾患について、文字による専門書の知識ももちろん大切ですが、手に取りやすく、ページを読み進めやすい漫画はどうでしょうか。この作品からは、『解離性障害』のかわいいトキンさんの頭の中をちょっぴりでも実感することができるかと思います。
書籍名 | 実録 解離性障害のちぐはぐな日々-私の中のたくさんのワタシ |
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著者 | Tokin |
定価 | 1,512円 |
ISBN | 4772613668 |
出版年月 | 2018.11.30 |
名前:滑川佳奈恵
所属:千葉県中央障害者相談センター
私にとって、音楽はとても大事なんですが、その「私にとっての音楽」っていうのには、身の回りの環境音とか機械のノイズなんかも入っていたりするわけで、ひととの、あるいは書物での音楽をめぐる議論がいつもどこかもどかしいのは、この「音楽とはなにか」という概念が人によってずれているからじゃないかと思うわけです。
そう思うと、やっぱり私たちが「音楽」をイメージするときに暗黙の前提にしていることを掘り下げて考えざるを得ないわけで、だけどそのわりにはこのことに触れている書物はとっても少ないんですよね。
たとえば、いつからか、どうして音楽は「間違ってはいけないもの」になったのでしょうか?どうして幼稚園や小学校では、子どもたちに大声で歌わせるのでしょうか?考えてみると不思議じゃありませんか?
この本は、そうした「どうして音楽は、こんなに一方的でかたくるしいものになったのか?」を教育の観点から解き明かして、今の日本での音楽のあり方についてさまざまな「Why?」を提示しています。その意味では、「教科書」と銘打っていても「こうすべき」みたいな話はほとんど出てこないし、むしろそれは慎重に避けながら、「音楽とはなにか」を問いかける内容になっているように思います。
著者は臨床音楽学が専門だそうですが、学術的な書物ではなく、エッセイ風の読みやすい文章なので気楽に読めるし、それでいてとにかく目からウロコの論点がいっぱいで、音楽観が変わること間違いなしのかなり刺激的な本です。音楽の好きな人はもちろん、音楽療法とか、臨床で音楽を導入している人なんかにも、ぜひ読んでほしいです。マイナーな(失礼)出版社の本なので、まず実店舗では見つけることができないんですが、ネット通販ででも手に入れて読んでみてください。
書籍名 | 親のための新しい音楽の教科書 紹介者:池澤直行 |
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著者 | 若尾 裕 |
定価 | 1260円 |
ISBN | 978-4908040009 |
出版年月 | 2014.07.31 |
名前:池澤直行
所属:市川市障害者支援課